日時:2014年11月1-2日 沢泊1日
場所:奥美濃 詳細は省略
メンバー:倉、他会×2

11月の沢それは聞く人によっては相当残念な行いを実行し目に見えて想像される壮絶な水温に怯えることを彷彿とさせるだろう。しかし、沢によってはその壮絶な水温に怯えることもなければ膝上までの水に浸かることもない沢登りができるのだ。多くの人が考える盛夏に暑いから水をじゃぶじゃぶやってやろうというのも沢登りの醍醐味ではるが、それがすべてではない。つまりその考えのままその状況を11月にして考えるからその悲惨な光景がうかぶのだ。沢登りというものは大滝登攀など相当の技術を以ってしてこれに臨まなければならないものもあるし、釣りや山菜採りなどをメインとして早々にその日のねぐらをきめて日中のもっぱらを釣りと昼寝と焚き木集めに割くなんてこともある。今回の沢登りは後者により近く、沢登りのバラエティに富んだ楽しみ方をあらわしている。

10月31日
11月に沢にいく奇特なメンバーの1人はわざわざ金沢から。米原駅で拾う。ご苦労さまです。
入渓点の近くでもない大き目の公園の屋根の下で前夜泊。まぁまぁ寒い。明日の夜が不安。

11月1日
全く晴れていない。きのうの夜より寒い。
川沿いのくねくねの道を遡りダムを過ぎる。途中道路の上の斜面にサルがいて道路にたくさん石が落ちていて怖い。橋を渡ると猿はいなくなった。猿留めの橋だ。駐車スペースに車を停めて準備をする。すこし有名な山の登山口でもあるのでもしかして誰かいるかもと思ったが下山まで登山道でも誰一人として会うことなかった。
小雨降る中あまり気分の上がらないアプローチ。とりあえず登山道で山の山頂を目指す。晩秋だがところどころ紅葉した木々が美しい。
すこし有名程度なのでところどころ道が薄くなっている。2時間ほどで山頂に着く。山頂は藪に囲まれ展望無し。山頂から地図を睨みつつ登山道とは反対側の斜面の小さい尾根を拾いながら下っていく。小雨は時々強く降りそれなりに寒い。北アルプスに履いていって下山でえらい目にあった地下足袋を懲りずにまた履いていったが親指のところが破けかけて痛い。あと保温性がゼロに近く足先が冷たい。沢の音が聞こえてくるともうすぐで最後沢床に下りるために1回懸垂下降をした。上流部はまだ平坦地がない。キノコなどを探しながら進む。あまりキノコの気配がない。竿なども出しつつ進むが魚の気配もあまりない。しかし淡く色づくブナなどの木々とうす曇の晩秋の沢はなんとも風情があるなぁと気を紛わす。この沢は上流部小滝というものもほぼなく釣りにはぴったしである。

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時々ある深めの釜をへつったりと夏にはない緊張感を感じつつ歩いていると大きいブナの倒木にキノコが群生していた。多分、可食のナメタケだろう。しかし確信が持てない。ヌメヌメとした傘とその色群生具合にブナの倒木から生えているという条件であればほぼナメタケで間違いないのだが、ただこれはナメタケだと言ってもこれを食べようとなると全く話は別である。すこしだけ齧ってペッと吐いて痺れもないし、なんだかナメコのような濃厚な味が良いような気がした。特別、今私たちは飢えているわけでもないしこれを食べないといけないわけではない。救急車もすぐきてくれる環境でもない。沢の中という場所のせいかそれ以上そのキノコをどうしようという気が起きず、あきらめてその場を後にした。帰って写真をキノコを良く知る知り合いに見せたところやはりナメタケであろうということだった。

ところどころ平地が出てきて焚き火の後などもあるがもう少し下ってみることにした。
最高までとは言わないがいい台地があったのでそこにタープを張る。炊事用のブルーシートのタープも張る。
各自焚き木を取ってきたりする。

日が落ちるころに雨が強くなってきた。
雨の中の焚き火はそれなりに難しいがブルーシートのおかげで難なく火を熾し、米を炊き、汁物をつくった。

250216_721458807938107_6095499736488565051_n (1) ビールなども飲み、雨が強くなる。時々外に出て濡れながら焚き木を切る。太い太い焚き木を乾かしながら燃やしていく。
雨音が激しくなる中焚き火をして清酒など飲みまどろむ。至福の時間だ。足の先はタープから出て雨にあたっている。焚き木を何度もくべ直し夜が過ぎていく。焚き木も少なくなり、宿泊用のタープに移動する。テントも一応車に積んだがなぜかシュラフカバーしかもってきていない彼の猛反発にあい置いてきた。さっきまで尻に敷いていた100円ショップで買ったヨガマットをもう一度引きなおし夏用のシュラフにもぐりこむ。雨音がぱちぱちとぴんと張ったタープに弾く音を聞き眠りについた。

11月2日
確か7時くらいに起きる。

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一番先にシュラフからでて焚き火をまた熾す。雨でしけった焚き木はきのうの燃えさしにくべられ白い煙をあげて燻され、白い煙は薄くなって沢の上流に流れていく。今日も陽が射さないこの沢。靄に似た沢に立ち込める白い中に煙が吸い込まれていく。
雨は止んだようだった。お湯を沸かしきのうの余ったご飯を雑炊にして食べる。寒い朝にこの焚き火にあたりながら煙の流れるほうを眺める。ゆっくりと時間の流れる感覚がとても良い。
ダラダラと撤収し焚き火の始末をして、またきのうの山頂を目指す。今日は沢を下り二俣にでて違う沢を遡り山頂にでる計画だ。
沢を1時間も下ると乾いた平らな広い河原のような場所があった。もう少し行けばいいところがあったのにとだいたいの沢泊のときに思う。

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少し滝もでてくるがザイルを出すほどではない。二俣に着くと幅広の8mくらいの滝がある。そこまで立っていないのでフリーで登り後続をザイルで確保し登る。その後、滝がぽつぽつ現れ夏と変わらぬ沢登りのように進んでいく。1つの滝だけザイルが必要で右から登る。だんだんと沢は平流になって滝さえ現れなくなる。

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沢の流れは右左に曲がりその先が見渡せるほど平になっている。確かに地形図で見ると等高線の間隔が異常に広くなっている。なぜか30cmくらいのイワナがうじゃうじゃといる。人が近づいてもほとんど逃げず写真にも撮れた。

DSCN7770 ↑なめた態度のイワナ

養殖場なんじゃないかと思うほどイワナがいる。手掴みしようとがんばっているY君はほぼ全身を水に浸かっており寒そうだった。さらに源流部へ進むと平らな場所も少なくなり尾根が入り込んでくる。1つの倒木が沢に垂直に横たわっており、近づくとナメコが生えていた。

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ナイフを出して切り取っていく。沢でこうやってキノコがとれるのはとてもうれしい。

DSCN7752 ↑きのこオバケみたいな物体X。後日プロに写真を見せ同定をお願いしたところ9割の確率でシイタケとのこと。食べれたらしい。おしろしや。

キノコを採り終わり進むと顕著な尾根が沢に入り込んでいる。枯れた細い沢をつめるとまたナメコが生えていた。尾根に乗っかり山頂を目指す。遡行者をはじき返すように斜面に向かって生える潅木がとてもわずらわしい。藪漕ぎ。

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尾根に生えた3本のスギかヒノキの大木を過ぎると忌まわしい潅木が切り払われている。この尾根の潅木が切り払われていなかったらかなりに時間がかかっただろう。また山頂の稜線にでると雨が降ってくる。時折みぞれ混じりになりとても寒い。足早に登山道を駆け下りる。足跡からどうやら入山者はいたようで私たちより先に下山しているようだった。黄色く色づいた葉が登山道にたくさん落ちている。もう来月にはこの道も雪にうまっているだろうと思いながら帰路についた。