6月に3連休を作り出してチンネに行ってきました。

日時:2017年6月23日~25日

メンバー:清、鹿

 

6/23

立山から朝一の便で室堂へ。扇沢から来る清さんとは室堂で待ち合わせ。

梅雨の晴れ間でナイスな天気だが、明後日にかけて下り坂らしい。 僕は室堂に来るのは去年の(悲惨な)雪上訓練以来だが、あの時よりは確実に雪がある。去年や一昨年はこの時期もっと少なかったようだが、今年は平年並みとのこと。 雷鳥沢の野営場付近からまだ雪のべったりついた尾根を登っていく。

別山乗越を越えると剱岳が目の前にどっしりと座っていた。 かっこえーなー!初めて剱を見る僕はけっこう感動。これだけでも来た甲斐がある。

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⬆ 剱! 剱沢上部から

明後日登り返すことになる長い長い剱沢を下り、長次郎谷出合へ。 長次郎谷はすべて雪渓で埋まっていて、おかげであまり気を使わずに登れる。 熊の岩近くの岩には雪解け水が流れていて、この時期水の心配はないようだ。

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⬆ 長次郎雪渓

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⬆ 熊の岩付近

 

6/24

今日は朝からガス。雨は降らない模様。 アイゼンを付けて引き続き長次郎谷を登る。雪渓は次第に斜度を増していき、池ノ谷乗越へ。 池ノ谷ガリーも雪がしっかり残っていて、落石のプレッシャーはない。少し下って三の窓雪渓に抜けられそうな所を探す。

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⬆ 池ノ谷ガリーを下降 雪が多くて助かる

雪渓からほとんど登らずに抜けられそうな切り通し状の隙間があったので、そこから反対側に行くとうまくチンネとジャンダルムの間に出られたようだ。ガスっているがこの右側のでかい壁はチンネに違いないだろう。

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⬆ 三の窓雪渓に抜ける

さて中央チムニーの取り付きはどこかな、と探すが雪のおかげでトポとは少し様子が違う。 トポと見比べながら、何となくそれっぽいところに目星を付ける。トポの1ピッチ目はほぼ雪の下らしく取付きが不明なのだが、簡単なチムニー状をフリーで数m登って左側にある小規模なハング下から登り始めることにした。

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⬆ チンネの取り付きはこの辺かな? ガスでよく見えない

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⬆ それっぽいところに取り付いて準備

 

1ピッチ目:清リード 25m

登山靴からクライミングシューズに履き替え、ゼロピンとって登攀スタート! 青空を背景に爽やかなクライミングを期待していたが、現実は厳しい。

リードの清さんが取付いてからというもの、ルート上は岩雪崩状態。 ビレイ点はハング下で守られているとはいえ、ひっきりなしに降ってくる岩を見ると顔が引き攣る。 いくらなんでも落としすぎでしょ、と思っていたが、フォローしてみて納得。本当に岩が脆い。触った岩は大体グラグラしてる。このピッチの核心ぽい箇所で浮いてないことを確かめたはずのホールドがボキッと折れたのが本日のハイライト。とっさにA0して事なきを得たものの、ホールドと共に心も折れ、以後荒んだ気持ちで岩と触れ合うことになった。

取付きからしてよく分からなかったのでピッチ切るタイミングも不明。古めかしい残置ハーケン一本を見つけてピッチを切り、一本打ち足してビレイ点とする。うーん、落ちれん。

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⬆ 登攀開始

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⬆ ゼロピン運動忘れずに

 

2ピッチ目:鹿リード 20m

上の方にでかいテラスがありそうな雰囲気なので、それを目指して登る。プロテクションはまあまあ決まる所があるが、決まっているように見えるだけかも知れない。なんせ岩が欠けるのだ。今のビレイ点は全く落石から守られていないので、絶対に岩を落とせない。ホールドやスタンスを慎重に選び、四肢に体重を分散させて登る。 中央バンドぽい所に上がってほっと一息。ぱっと見残置が見当たらず、小カム3つ決めてアンカーとした。

 

3ピッチ目:清リード 30m

テラスから右上してbクラックを目指す。草交じりの急なバンドをするすると登り、少しトラバースしてbクラックと思われる顕著なチムニーの下まで。このトラバースはトポではIII級と書かれていたが、グレードつける必要もないような簡単なピッチ。ここホンマにbクラックであってんの? でもこれ以上右に行くとリッジを越えてしまうので、たぶんここが正解なのだと信じることにした。知らんけど。

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⬆ 中央バンド?から上がる

 

4ピッチ目:清リード 30m

さっきはあまりにも簡単だったので清さんに続けて登ってもらう。取り付きは少し立っていてジャミングに慣れていないと少し苦戦する。清さんは流血しながらもガッツで抜けて行った。相変わらず脆いけれどチムニーに入ってしまえば安定するし中間支点も取りやすく、なんとなく安心できる。チムニーを抜けリッジのわきに出てピッチを切る。

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⬆ 4ピッチ目取りつき bクラックと信じて登る

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⬆ ビレイ中

 

5ピッチ目:鹿リード 45m

最終ピッチかな?先ほどのチムニーは広がってジェードル状になり上に伸びている。トポによるとII級のルンゼ状らしいが…。調子よく登り始めるが、どうもおかしい。IV級くらいに感じる。やっぱりルートが違う? それだけなら別になんてことないのだが、目につくのは触れたら崩れそうなボロボロホールド&スタンスばかり。そして足元数m下には清さん。今落石したら絶対当たる。当たれば死。あ~、事故るかも…。

限られた信頼できるカチホールドを草の下から必死にほじくり出したりして、決して浮石に触らないように慎重に登る。中間部は浅打ちのひん曲がった錆びハーケンしかなく、プロテクションも決められずランナウト気味。左から伸びてきた別のルンゼに移り高度を上げる。ピーク直下でロープ足りなくなり不本意ながらピッチを切る。気づけば汗だく。なかなかの精神修行だった。

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⬆ 登る登る

 

5.5ピッチ目:清リード 10m

ピークまで10mないくらい。落ちなさそうな感じではあるが、場所も場所なのでビレイは必要。

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⬆ ピークまであと少し

登ってる途中何回も帰りたいと思ったけど、ピークに着くと安心感と達成感で満たされいい気分。 やっぱ来てよかったな~。(また登りたいとは思わないけど)

結局抜けるまで6時間くらいかかってしまった。浮石に気を使ったりルートを探りながら登っていたせいではあるけど、グレードは高くないし、もっとてきぱき登れるようにならないといけないなあと思う。

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⬆ チンネピークで記念撮影

ピークからコルに踏み跡を辿って楽に降りることができる。コルからは池の谷ガリーに向けて懸垂下降2ピッチ。ガレていて浮石も多いので要注意。

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⬆ ピークから南のコルへは歩いて下降できる

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⬆ コルから池ノ谷ガリーへ懸垂下降2ピッチ

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⬆ 池ノ谷側から見るチンネ

あとは池ノ谷から長次郎雪渓へと来た所を戻った。 時間と元気があれば剱沢までテントを移すつもりだったのだが、僕が急な胃痛に襲われダウン。落石のストレスかな…。 熊の岩付近で幕営することになった。ご飯も食べずに就寝。

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⬆ 長治郎雪渓を下る

 

6/25

夜中から雨が降り始めたが、起きてテントを撤収するころには一時的に止んでくれた。 それでも剱沢を登り始めると再び本格的に降りだす。 びしょぬれで、重いザックを背負って、長い剱沢を登るのはとてもしんどい。無心で歩を進める。

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⬆ 雨の剱沢

雷鳥沢の雪渓をグリセードで降りていくと、グェッグェッとカエルの鳴き声がする。雪渓にカエル?と思ったらなんと雷鳥のつがいが鳴いているのだった。雷鳥を間近で見られて結構うれしい。 天気の悪い日は雷鳥がサービス旺盛で、結構近くまで寄ってきたりしてくれる。そんな彼らに励まされて何とか室堂ターミナルに到着。

雨の中でもさすがに日曜日は人が多く、下界に帰ってきた感たっぷり。観光客は結構多国籍で、アジア系の夫婦によく分からない単語とジェスチャーで話しかけられてたじたじした。(ただの雑談だったっぽい?)

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⬆ 雨の日は雷鳥が元気

清さんとは冬までお別れ。誘ってくれてありがとうございました。お互い強くなってまた会いましょう。

記:鹿