スウェーデン北部、北極圏の原野をゆく、 「KUNGSLEDEN」というトレッキングルートを歩いてきました。

絵本で見ていたとおりのパステル色の世界、 圧倒的にスケールの大きい大自然、氷河に削られた不思議な形の山々、 どんなに日差しが暑くても全く汗をかかない爽やかな空気、 澄んだ空気の中で揺れる可愛らしいお花たち、草原をゆっくり駆けていくトナカイたち、 24時間いつでも好きな時に歩ける白夜の世界・・・。 毎日、次から次へと楽しい世界が展開され、ほんとうに、寝るのがもったいないくらい。

そして、何より楽しかったのは、人々との交流。 行き会う人々はみんないい人で、8日間歩いてるうちに、友達たくさんできました。 小屋に泊まった夜は、ワイン片手に深夜まで話し込んでしまう、なんてこともしばしば。 印象的だったのは、「きちんと、ていねいで、シンプル」な北欧人の生活スタイルと、 彼らの自然との関わり方です。

スウェーデンには「ALLEMANSRETTEN」(自然享受権)という法律があるそうです。  「誰でも、自然の中で、土地の所有者に損害を与えない限り、   他人の土地を、徒歩やスキーで横切ることは許される。   他人の土地で、短期間テントを張ったり、休息したりすることは許される。   野生の花やベリーやキノコを摘むことは許される。    ・・・・・その他諸々。」

自然はみんなのもの。誰でも自由に自然を楽しむ権利がある、というものです。 なんと大胆な法律なのでしょう。国土の6割が森林、1割が河や湖、という、 広大な自然を有するスウェーデンならではの、余裕の文化でしょうか。

さて、いつも、遠慮しながらコソコソと裏山を俳諧している私にとって、 これほど嬉しいことがあるでしょうか!! めいっぱい、道を外れて好きなところを歩きまわったり、フカフカの草原を見つけては たっぷりお昼寝したり(日が暮れないので寝過ごしても安心)、 誰もいない自分だけのお気に入りの場所を探してテントを張ったり、 大自然のふところに気持ちよく抱かれてきました。

行ってよかったです。 スウェーデン、やっぱり、私の大好きな場所でした。 これから毎年、夏休みはスウェーデン、で決まりかな? それとも、もっともっと新しい世界を探しに、いろんな国を旅してみようかな?
海外恐怖症の私の背中を押し、応援・助言してくださった全ての方に感謝します。

<とん>

 

最初は整備された国立公園の中を行く。

山小屋も、とってもオシャレな雰囲気。15~20㎞間隔で、山小屋があります。

日本では考えられない、テント泊の人専用の台所! 素敵なお鍋やフライパン、白い陶器の食器とシンプルなカラトリーで、北欧風のきちんとした食卓が完成。(水は川の水を汲んできて使用。ガス台は使い放題。ゴミはきっちり5種分別で捨てる。)

愛着あるマイテント。1人テントでごろごろするのは一番落ち着く。夜10時くらい、外には、真っ青な夏空が広がっていた。

夜12時。やっぱり光の量が減るのか、太陽の位置が低いために影ができやすいのか、写真にすると暗いですが、本当はもっと明るいです。

次の日。いよいよ国立公園を出ます。ここからは、好きなように自然を楽しむことが可能になります。トナカイにも会いました♪

またまたトナカイ♪♪

とにかく土地が低く広く、水が豊富。水と陸の境目が感じられない。このコースは、ずっと左右に山並みを見ながら谷底(たぶん氷河の通った後の、底の広いU字谷)を行くのですが、歩いていても、小さな渡渉の繰り返しです。

アレスヤウレの湖畔。素敵なテン場でしょう? このオレンジのテントを立てているのは、お隣の人。私は対岸に。

今日こそは!誰もいない自分だけのオリジナルのテン場を探し求めて、夜9時まで歩きました。その結果・・・ 発見したのは、まっ青な、まぁるい湖を見下ろす丘の上。しかも、床はふっかふかの乾燥したコケ。見渡す限り、地球上には私ひとり。 ここが、今回の、私の「BESTテン場大賞」です。

真夜中12時。この日はうっすら赤紫の夕焼けになりました。

たまには、小屋で買い食いも。みかんの缶詰は日本とおんなじ味。あぁ~幸せ!

そういえば、咲いてるお花も、日本のものとそっくり。 ハクサンフウロに、チングルマに、キンポウゲ・・・。もちろん「ハクサン・・・」って名前じゃないだろうけど。こんな遠く離れたところに、こんなそっくりさんがいるなんて。鳥や虫が種を運んで世界中に広まったのかしら?よくわからないけど、想像するだけで素敵。

蚊が多いのが唯一の難点。蚊取り線香は必須です。

5日目。この日からお天気は下り坂。山の印象も違って見えるから面白い。 「KUNGSLEDEN」を離れ、この山の間の谷を東に入り、スウェーデン最高峰のケブネカイセ山を目指す。

ケブネカイセ山荘に2連泊し、1/20000の地形図もGETして、小屋常駐のガイドさんに詳しい状況を確認し、いよいよケブネカイセ山へ出発。お天気のせいで人もまばら。ちょっと緊張。

ここが最高地点(南峰)。北峰に向かってのナイフリッジと雪庇が恐ろしげ。

頂上からの景色です。ガスで真っ白だったのが、急に視界がひらけ、薄日が差しました。 感動~☆
朝10時に小屋を出発して、帰着は午後10時。 往復12時間の、けっこう真剣モードな登山でした。 翌日、森の中を1日歩いて、ニッカルオクタ村へ出て、私の冒険は終了しました。