日時:2016年6月11日(土)
場所:石川県白山山系岩屋俣谷 別山谷
メンバー:く、他1
京都を前夜に発って、名神で米原JCTから北陸道、福井北ICでおりて勝山を経由して白山の登山口である市ノ瀬へ向かう。白山は何回か来ていて市ノ瀬にきたのも2回目だった。夜着くとびっくりするくらい星がでていて、天の川も見えた。
翌朝は5時40分に駐車場を出発するが既にアブが恐ろしく体にまとわりつき沢靴を履き替えているときに足首を刺されてしまった。別当出合方面の道とはすぐに分かれてチブリ尾根登山口のほうへ向かって岩屋俣谷に入渓する。
堰堤を2つ越せば岩屋俣谷の名前の由来か、どでかい岩が沢に林立し大岩の下に流れる水流を辿る。
火山特有の礫岩が多くフリクションはまぁまぁ。礫岩は八ヶ岳の小同心クラックぶり。
途中はサンショウウオがいたりと悪場はなくきれいなナメがあったりとひたすら水平距離をかせぐ。
下流部をぬけると最初の大滝30mが立ちふさがる。
右からの大きなルンゼの岩壁がどーんと立っており右岸のガレ場から巻き上がる。かなり大きく巻いてしまったのが運の尽き。
高巻きもぐずぐずの泥の斜面とボロボロの岩、貧弱な草に手間取ってなんやかんやトラバース4ピッチ、ナナメ懸垂2ピッチ、最後に沢に戻るのに懸垂2ピッチと2時間半を費やしてしまった。
大滝上からは沢の雰囲気も変わり高山の沢という雰囲気になってきた。沢は大きく開けて太陽が降り注ぎ両岸もかなり立っている。
直登可能な滝をいくつか越えると2つ目の大滝。
大滝の前にはなんだかとっても悪い3mくらいの岩を越えねばならず、ここも残置のスリングを使ってA1して越える。残置をみたのはここだけだった。この滝も直登できないので左から高巻きするがルンゼもまたぐずぐずの斜面でとても悪い。
泥の斜面に手をつっこんでそーっと草と泥の固まったこぶに足をおいて四つん這いになって、ズルズルっと岩の上に乗った泥といっしょにすべりそうになりながらなんとか進む。やっと樹林帯に入ったと思えば猛烈な藪で笹やらなんやらに加えてアブもでてきて、往生する。すぐに懸垂下降すると沢に届かないし大滝の上にまだ滝があるようで危険なので猛烈な藪漕ぎをしながらトラバースしていく。やっとのことで懸垂せずに沢にでて、少し曲がった先をみれば直登できないCS5mの滝とその先に下半分しかみえていないが形の美しい大滝が見える。時間も14時をすぎて12時間行動のパターン。もっと前に支流に入っておけばと思ったが後の祭りでつめられる支流と尾根もなく、ただ進むしかなかった。CSの滝とその上の大滝もかなり大きく巻いて懸垂して沢に下りる。雰囲気はアルプスの沢でナメが美しいのだかが、全く楽しめない。次にでてくる滝に怯え、大滝がでてこないように願いながら歩くが、やはり8mクラスの滝がでてくる。
まぁ雪渓がでてくるよりかましなのか…。残置のない滝は右からハーケンを打って進む。終了点も木がないのでまたハーケンを打ってセカンドを迎える。
行く手にはさらにむずかしそうな8mクラスの滝があり、今夜はザックに座ってビバークかなと思いつつ、高巻きするべく右から枯れた滝を登って行く。登ったはいいがトラバースができない。しかしこの滝というか枯れた水流はけっこう上まで行けそうなので、やけくそ気味にチブリ尾根を目指して藪を漕いだりなんなりして進む。
標高があがると別山尾根も見えてきてこのままチブリ尾根まであがれそうで一安心。しかし藪は腰の高さから頭の上までに変わって笹に滑っては笹を掴んで立ち上がってを繰り返す。パートナーは日ごろの疲れなども溜まって、予想外のこの長時間行動に疲労困憊。かなり間があいてしまう。
間があいたついでにスマホをだして電波を確認するがやっぱり入らない。アブを500匹くらい潰したころ(つぶしてないけど)にやっとチブリ尾根避難小屋が見えた。
笹についた花粉?粉にまみれてやっと登山道に着き避難小屋に行くとK大のワンゲル一行が天気図を書こうとしていた。彼らの中に携帯が通じる人がいたので電話をかりて下山が遅れる旨を報告。ありがとうございました。
最後の滝を登るのに水流をまたいだのでザイルが思いっきり水を吸っていて重い。登攀具も重たく捨てていきたかったが、なんとかザックに詰め込んで避難小屋を出発。右には雪の残った白山が見え頂上山荘や南竜山荘の赤い屋根がみえた。
沢靴で3時間の長いチブリ尾根を下山し駐車場に着くともう夕闇。疲れてアスファルトに寝そべりながら下山報告しているとめくれた服のとこをアブに刺された。
13時間行動の長い沢登りが終わった。まだまだ修行が足りないと実感した沢だった。今度は泊まりでこよう。5年後くらいに。
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