9月19日~21日に北アルプス錫杖岳前衛フェースに登攀に行ってきた。
メンバーはI井さん(K戸山岳会)、私とE口さんとM木さん、N藤さん。
私はI井さんと3日間共に、ロープを結び合い
19日 注文の多い料理店
20日 LITTLE WING
21日 じーやの大冒険を つるべ式で登った。
この素晴らしい3つのルートに取り付くには、私の力量では力不足ですが、I井さんの登攀力のおかげで、登らせてもらえました。I井さんに感謝です。
ありがとうございます。(記:K本)
↑ いつもの表現力がたりてませんな・・・。うるさいNより。リトルウィングの写真がほしかったな・・・。
計画では、予備日を入れて5日間の計画だったが、2日目の朝の段階で、I井パーティの意向も聞き、
3日間での山行にすることを早々に決める。
その結果、二日目に継続ルートを持ってくることに。
結果 1日目ジェードルルート、2日目注文+烏帽子東肩ルート、3日目じーやに変更した。1ルンゼは割愛。
さてさて、
夏の錫杖は、私の中では、非常に直線的・もしくはシンプルな山行となりがち。
「登り切って、懸垂下降してBCへ」。頭の中で、一日の行程がシュミレーションがしやすく、
不確定要素が少ない。それだけ登攀に特化集中できるのだが…。
計画段階から、「登りと懸垂」の繰り返しか・・・、ルート自体は高難度だけど、山の深さを感じる魅力が少ないな・・・できることなら、懸垂せずにグルッと周遊して帰ってきたい。そのほうが充実するし、山全体を肌で感じることができていいのにな!という想いが募っていた。
ということで、M木君が、注文と烏帽子岩を継続しましょうということで、ナイスなプランにしてくれた。
野郎五人衆 錫杖沢岩小舎にて
初日こちらのパーティーは、8時からの入山後、岩小屋にて幕営し、10時前から、登攀へ出かける。
ちと遅い。
初っ端から、左方カンテのジェードルルート(5.10)このルートに登りたいと言ったのは、
入会ほやほやの、謎の新人M木24才だ。
左方カンテ取り付きから、大・ダイ・だい渋滞でげんなり。
すっきり空いている1ルンゼに登ろうかと偵察しにいく。帰ってきたら空いたので、登り始める。
ジェードルルートまでは順番待ちで、くたびれたが問題なしだった。さてココカラ。迫力ある岩壁。
ここのぼんの・・・と一人でつぶやく。
リードをEロクンからM木君に交代する。右側から回り込み、登り始めるが、レイバックでじわじわ進む。
M木くんの息遣いがその難度を物語る。もおぅ、見てるだけで、ハラ・ハラ・ドキドキ。
下で見守る二人は“すごい、すごい、強ぇ~”と感嘆する。
フリーで抜ける気概を感じ、そうとう悪そうだ二人は緊迫してくる。
ルートが、くの字に折れ曲がるのだが、その中間ポイントからの2・3手が極端に難しそう。
とうとう残念そうにアブミを出すM木。けど良くやった、もう充分だ。
そのまま落ちずに抜けてくれぇーとお祈りを3度しているうちに、じわじわ上がって姿が見えなくなる。
程なくしてビレイ解除のコールが響いた。
お次は、フォローのEロとN藤。レイバックを終え、問題の くの字ポイントで急に止まる。後ろで見守る私。
“登れへん、マジでやばいっすわ・・・”と言葉を発しながら、試行錯誤して越えたEロ。
彼でも登るに苦労しているということは・・・俺はどうなる!?
アブミ出したらなんとかなると読んでいたが、まじで時間かかりすぎてる。テンション掛けてしまう情けなさ・・・。生まれて初めての本番初フォローテンションだ。支点にフィフィも掛けられない。やばいやばい。
もう、ほうほうのていで上がることができたが、上がってからの草付も絶妙に悪い。
M木よ、良くぞ登ったと感慨深い。初日からフルパワーで参った。
というか、3日間の中で、壱番の核心だったです。
時間が迫っていた。“もう降りよう”。みんな一致の判断。
目の前に広がるジェードルは、岩の芸術作品の如く、美しさの極みだった。
この日に写真が無いのは、その余裕のなさを語るものです・・・。
二日目/注文+烏帽子東肩ルート→西肩→右俣沢下降
さて、この日の不確定要素は…
①注文の終了点から東肩までの時間とルート
②東肩から西肩へのルートは ほんとに開通してるのか?
③西肩から右俣沢の下降は、どんな状態で、どれほどの所要時間が掛かるのか?その三点。
資料的に、かろうじて点と点が線で頭の中で、繋がっている状態であったが用心していた。
烏帽子岩南壁 東肩ルートは、2p目から北側へ回り込んでいく。
結果
①は所要時間30分弱。注文終了点から10分進むと稜に出て大バンドへ。そこから南側の踏み後を回りこみ、稜上を歩いて烏帽子岩へ。
②は東肩を上がりきり、西肩に向かう踏み後を20mほど進むが、ブッシュに隠れて見つけづらい。
ブッシュの中で、右手に降りるのがコツ。
木に残置が掛かっている。
③西肩下降点から明瞭な踏み跡があり中央稜を渡り、沢へ誘われる。問題なし。数回懸垂した。
ところで、烏帽子岩の東肩ルートの全容は見えない。南壁はえらくきつそうだが…。
2p目から、北側にトラバースして回りこんで行く。最後はアクロバチックな内面登攀で、とても楽しいムーブを味わわせてくれる。こんなの大好きで最高。
けど私は、最後の一手、木の根を持ってしまって残念無念です。
また下降は、結果的に西肩より60mザイル一発で降りられたのだが、先頭を行くM木はピッチを切った。届かないと判断。また、その下降支点が、ひどく不安定で流動分散角度が、90度以上に開いてたりと危険信号だ。補完しようにも出来ない。
カムでバックアップを取る。最後に降りてきたE口が、地形を見極め、これはなんとか一発で降りられますよ!ということで、ロープを掛け替えることなく、降り立つことが出来た。今回60mザイルにして正解だった。
3日目:バードランド(E口リード)+じーや(M木リード)
今日は両パーティーとも「じーや」ですが登り始めが違います。
バードランドはルート取りを間違わないよう要注意。妙にルート取りがずれているぞ。
1p目はハーケン2本あるとこから開始したこと。
ハング下でのトラバースは見ていて際どかったこと。
私の判断ミスだ。若木のあるとこまで降りてきてもらって、登攀開始すべきだった。
2p目は大木テラスから、正面のフェースから左手にリッジを回りこみ、フェース登りとで高度を上げる。草つきが、織り交ざって変な感じだが、4p目でじーやに合流。
ここからは、ラインは明瞭。
「じーやの大冒険」 5.9のクラックを登るM木
登りの最中、じーやを、登り終えたI井K本パーティーと出会う。ほっとする。落石を警戒して待っててくれているのだ。
じーやは、クラックあり、洞穴からのチョックストン越えありと、ダイナミックな登り。
岩に挟まれ、高度感が無い。
懸垂下降は、I井パーティの回収不能となったカムをM木がなんとか回収しようと頑張ってくれた。
今回の内容は大変、濃かった。
反省点も多々挙げられる。
岩にもっともっと強かにならないといけない。
その日、その岩、その人たちとの間の中で、最適な判断ができるよう
見つめ直さなくてはいけないことがある。
妥協してはいけない。自分に負けてはいけない。
また、鍛えなおして行きたくなった。
そして今回で錫杖がとても好きになった。
また、報告書できちんと整理しましょう。
記:N藤
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