2018年のお盆休み。 当初は8/11から劒岳に入山し、チンネ左稜線、劒尾根主稜を登攀の予定だったが、天気がぐずついていたせいで中止になってしまった。

小豆島での地獄のような暑さの中のクライミング合宿の後、有給4日を消費して勝ち取った夏休み後半戦、意地でもアルパインに行きたいという気持ちを抑えきれず、鹿さんと共に計画を立てた。奇跡的に8/17-8/19の夏休み最後の3日間は天気が回復しそうだったので劒尾根主稜の登攀はあきらめ、チンネ左稜線に計画を絞り出発した。

 

8/17 午前5時頃立山駅に到着。ゴールデンウィーク程ではないがやはり人は多い。何とか切符を買って室堂へ移動。天気は良い。前日は台風並みの雨風だったみたい。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
 

室堂から雷鳥沢までは涼しく景色もよいのでテンションが上がる。

ところが雷鳥沢から別山乗越への上りを歩いている途中で異様に息が上がる。体調が悪い。昨年のゴールデンウィークにもここで体調を崩したことを思い出しながらゆっくり歩く。

きっと僕は劒に嫌われている。そんなことを思いながらやっとの思いで劒御前小屋へ到着、劒沢小屋まで下り本日登る長次郎谷の雪渓の状況を確認する。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

どうも左俣は状態が悪いが僕らの向かう池の谷方面の右俣は問題がないとの事で一安心。

ただ依然体調が悪く、なぜか立っているだけで足が震える。やだぁ。

 

とにかくここにいてもしょうがないので熊ノ岩を目指す。劒沢を下り長次郎谷との出会いへ到着。ここからアイゼンに履き替え延々と谷を登るが、死ぬかと思うくらいしんどかった。 半泣きで歩き、弱音、罵詈雑言を吐きながらなんとか熊ノ岩へ到着した。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

歩いても歩いても熊野岩につかない 

可能ならば三ノ窓まで行きたかったが自分の体調の為本日はここで幕営決定

鹿さんが「体調が悪いのは仕方ないっすよ」と言ってくれた。キャッ好きッってなった。

思えばこの時点ですでに7日間毎日鹿さんと過ごしている20代最後の夏。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

テン場から見える八ツ峰が幻想的だった

 

8/18

午前3時40分ごろテントを出発。昨日と違って息がしっかり吸える喜びを噛みしめながら雪渓を登る。池ノ谷乗越を超えて池ノ谷を下り三ノ窓へ。岩がもろくがれがれなので注意しながら下る。気を使って怖い。一度鹿さんにボーリング玉程の落石が当たりそうになり焦った。鹿さんは華麗にかわしていた。

三の窓に到着するとそこから差し込む朝の光がとてもきれいだった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そこから三ノ窓雪渓をトラバースしチンネへ向かう。到着すると先行パーティーがちょうど1ピッチ目に取りつき始めたところだった。

 

先行パーティーが2ピッチ目まで抜けるのを待って午前6時前に登攀を開始した。

朝一番のクライミングでまだ気温が低く指がかじかみ緊張するが徐々に身体と心が温まってくる。

流石の超人気ルートだけあって岩が安定していて登りやすい。

IMG_2015

ゲレンデまでとは言わないが去年の滝谷を思うと夢のような安定っぷり。ハーケンも至る所に打ってあり安定もしているのでランナーは取りやすい。(そこまで信頼はしてないけど)

 

ところどころきちっとカム、ナッツも決めがら程よい緊張感のある気持ちの良いクライミングが続く。

IMG_2018

核心部の鼻は遠くからみると恐ろしく圧倒的な存在感で、最悪A0かと思っていたが案外サクッとフリーで抜けられた。

IMG_2023

物凄い高度感により下を見ると生きた心地はしないがホールドは良く、スケールに圧倒されながらのクライミングは最高に楽しかった。

 

AM10:00過ぎに登攀終了。

当初考えていたよりも良いペースで登りきることが出来て満足。

その後、すぐに池ノ谷には下りず八ツ峰方面へ少しの登り返すとうまい具合に池ノ谷乗越に降りることが出来た。

そのまま熊ノ岩まで下り昼から日向ぼっこをしてグダグダして午後を過ごした。

 

8/19

AM4時30頃出発 前日同様長次郎谷を上り詰め北方稜線から劒岳本峰経由で室堂まで下山した。

北方稜線の歩きはすごく楽しかった。いつか端からつなげてみたい。

 

IMG_1989

朝日と共に見れた雲海がそこはかとなく幻想的だった。

 

その後の歩きはまたもや死ぬ程しんどく、ていうか20KG今日の装備で劒の山頂から下山するものだからすごく浮いてしまう。

周りが空荷の中登攀装備をすべてしょっての登り返しの連続で心が何度も折れそうになった。ていうか折れた。

泣きながら雷鳥沢から室堂までの登り返しを歩きなんとか帰宅の途に就いた。

4月に行った不帰1峰尾根といい鹿さんと二人の山行はいつも全力の向こう側になってしまうのが問題だ。

滝谷での登攀から1年、自分の成長を感じられる20代最後の夏休みとなった。