前回からのつづき
vol.6 「ネパール、ポーターのマー君」
その翌日、起きると頭も体もかなり元気になっていて久しぶりに外に出ると、素晴らしい景色が。
真っ青な空と緑の山の間に真っ白な巨大な物体…
す、素晴らしすぎる。これは行かねば。
そんな景色に圧倒されて帰るなんて考えは一瞬で吹っ飛びました。
でもあの荷物背負う気になれない。
うん、病み上がりやしな、無理したらあかんしな、ちょっと歩荷トレーニングはお休みやな…よし、
ポーター雇うか!笑
てことで全面的に信頼してる宿のおじちゃんに
誰かいいポーターさんいる??ときくと
おじちゃん「いるいる!ちょっと待っててや」
と言い数分後連れてきたのはこのおじちゃんのお父さん?ぐらいのおじいちゃん。
え、大丈夫?私の荷物重いけど。いやでも、ポーターさんやしプロやし慣れてはるんかな、
とか考えながら値段交渉開始。持参したガイドブックにはポーターを雇う際の相場として一日1000から1500ルピー、と書いてあったので
1000ルピーから交渉。
おじいちゃん「1000ルピーは厳しい。2000ルピーは?」
私「えー2000?1500は?」
おじいちゃん「アンナプルナ・ベースキャンプ遠いし高いねん。」
とかごだごだ言ってるとおじいちゃんの息子?らしき男の子が。
お、なかなか男前やん?!まさかこの子がポーター??
おじいちゃん「この子がポーターするから」
私「オッケー!2000で!」笑
こんな感じで見てくれに弱い私と男前ポーター(通称マー君)の珍道中が始まりました。
リスタートを切った私は軽くなった背中にテンションもあがり、足取りも軽くルンルン。
ランドルンを出ると1時間ぐらいゆるやかに下りが続き、
マー君ともカタコトの英語同士でいろいろ喋って、
自己紹介が一通り終わった後、仕事の話に。
マー君「仕事何してんの?」
私 「今は仕事してない!マー君はよく山行ってんの?」
マー君「僕はジープ(山間の乗り合いタクシー)のオーナーをしてるよ」
私 「……ん??」
マー君「だから、ジープのオーナーだよ」
私 「え、ポーターちゃうのん?」
マー君「まさか!笑 今日が初めてだよ!笑」
(え、ちょっとまって?)
私 「え、ポーターちゃうの?プロちゃうん?」
信じられない事実にもう一度聞く、聞き間違いで有って欲しい、そう祈りながら。
マー君「だから、ポーターは今日が初めてだよアンナプルナ・ベースキャンプには一回行ったことあるけどね♪
その時は荷物なんて持ってなかったから余裕だったよ!ハッハッハ笑」
衝撃事実発覚。笑
その後、しんどくなってきて2人とも汗だくになりながら休憩。
マー君「うわーランドルンがもうあんなに遠くに見えるよー」
私 「ほんまやな、もう帰れへんで」
マー君「そうだね、この殺人バックのおかげでね笑ハッハッハ笑」
友達か!笑
その後もこまめに休憩しながらゆっくり高度をあげる。
今日の目的地チョムロンまであと少し、休憩するか。
私 「ちょっと休も」
マー君「そうやね、I can die! 笑」
ここでもマー君節炸裂。
なんかネパールのノリの軽い友達と来たみたいなってるー笑
その後歩くこと約1時間、今日の目的地、チョムロンに到着。
宿を探していると、歩いて30分程先のマー君の親戚の家があるとの事で
マー君にものすごい勢いですすめられる。
マー君「僕のいとこの家だから、僕はダルバートタダで食べられるし、
もちろん君だってディスカウントしてあげるよ!そこらのホテルよりいい所だよ!そこに泊まろうよ!」
猛烈な勧誘に少し疑問を感じた私は
私 「値段はいくら?食事はどのくらい?ホットシャワーはでるの?」
とか試しにいろいろ質問してみる、
マー君「値段は取り合えず安いよ、ホットシャワー?もちろんだよ!」
ほんまかいな笑
まぁ、でもマー君もええ子そうやし、昨日の宿の親戚にもあたるわけやし、
もうちょっと歩くかーとか思いチョムロンより30分先のティリィチェという村に。村といっても民家が2件のみ、そのどちらもマー君の親戚の家。
マー君「夕飯はダルバートでいいよね、シャワーは薪で沸かすから時間がかかるから!沸いたら言うから!」
薪で沸かす!?なんか申し訳なくなって
私 「ホットシャワーは別にいいよ!」
と言うと、
マー君「大丈夫、大丈夫!すぐに沸くから!」
試しに言っただけなのに、申し訳ない気持ちになりながらお言葉に甘える事に。
おもてなしの心がすごいな。ちょっと感動。
それから約1時間が経って、
マー君「沸いたよー♪お水とお湯があるからちょうどいい具合に混ぜてつかってね!」
私 「ありがとう」
マー君「お湯が足りなかったらまた沸かすから言ってね!」
私 「ありがとーう!」
混ぜて使う?どーゆーこと?
と思いながらトイレにいくと
水の入ったバケツとお湯の入ったバケツが二つ並んでいる。
あーなるほどね、そーゆー方式ね。うんうん、理解。
お湯に手をつけてみる。
ちょーどええ温度。たぶん40度ぐらい。
これでシャワー。。。いや、風邪ひく!絶対また風邪ひくやん!
でも貴重なお湯。ありがたく足湯をさせてもらい、残ったお湯で頭だけをさくっと流しお風呂終了。でもこの貴重なお湯のバケツ足湯は最高に気持ちよかった。
ほっこりあったまった後、マー君ファミリーとダルバートを食べながら談笑。
今まで食べたダルバートの中で1番美味しいダルバート。
お礼を言い、明日も早いので部屋に帰って寝ることに。
貸してくれた部屋の屋根の上に野良犬が乗ってケンカをし出したりするし、
もう、最高。素敵な夜をありがとう。
翌朝、会計をすると800ルピー。だいたいどこでも1200ルピーはするのに。安い。
疑ってごめんよ、マー君。
このティリチェから私はマー君に信頼を置いて宿はマー君におまかせ。
マー君ファミリーに別れを言い、次なる目的地へ。
この日の目的地は約4時間ほど歩いたドバンかその先のヒマラヤホテルという村。
マー君に目的地を伝えると、さわやかに笑いながらeasy!と言う。ほんまかいな。笑
今日もマー君はマイペース。いい景色があれば携帯で写メ取り出すし。
休憩中は友達と携帯で喋ったり、その後私に
マー君「友達に、今どこにいるの?って聞かれてABCまでいくから一週間ぐらい出てるよって言ったら笑われちゃったよー笑」
もう、友達感覚はんぱない。
ゆるやかな登りを2時間程でバンブー、そこからまた2時間程で無事、ドバンに着。
時間に余裕があればあと1時間ほど先のヒマラヤホテルがある所までいかたかったけど、この時期は午後になると急に天気が荒れ出す。
案の定13時には本格的な雨が降り出し、雹になり、ヒマラヤホテル行きを諦めドバンに一泊する事に。
この辺りから宿が混雑しだし、シングルルームを取るのは難しくなってきました。
この日はドミトリーに泊まる。節約にもなるしドミトリー大歓迎。
次の日はというか、朝方は大抵天気がいい。
今日はマチャプチャレ・ベースキャンプが目的地だから
6時間はかかるよと伝えると、予想どうり、さわやかなeasyが帰ってくる。
マー君の軽いテンションが1日のやる気を出してくれる。
歩き始めて5時間、高度もあがり雪が降り出すし、周りも雪景色に。
マー君「見て雪!雪!笑」
とか言いながら雪を丸めて投げたり写メを撮ったりするマー君。
もう、純粋さに癒される。笑
雪の中を歩きだして数十分。雪にも飽きたのか、ポロシャツと軽いジャケットだけで寒いのか明らかにテンションが下がっているマー君。
私 「大丈夫?」
マー君「足が濡れて寒い。。。苦笑」
やろうな、その小洒落たブーツやったらそーなるわな。
私 「頑張れ」
マー君「うん!」
靴濡れる事件から約30分。無事マチャプチャレ・ベースキャンプに到着。
ヒーター室に駆け込むマー君。私は夕食までシュラフに潜り込む。
つづく
<写真と文 kusamon>
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