場所:長野県八ヶ岳連峰 小同心クラック
日時:2015年9月19日朝発~20日
メンバー:なか、から、M、くら、K、M、他1
19日
今日は赤岳鉱泉までの道のりため京都を朝に出発する。
名神、中央道を走るが雲ひとつない青空でこうも連休に晴れるのは珍しい。飯田に近くなると高速道路脇にりんご畑に鈴なりに赤いりんごがなっている。真っ赤なリンゴは休憩した駒ヶ岳SAに売っていた。諏訪南ICで降りると八ヶ岳の裾野がみえる。赤岳などの稜線は見えない。
2台の車は両方四駆のため赤岳山荘まで入れる。駐車場はもういっぱいだった。ザイルやら金属のガチャガチャしたものが重い。テントを担ぐとさらに重い。
冬に何度も歩いている人もいる北沢ルートを行く。林道から沢沿いの道に入るがその前の林道脇にはキノコがとにかくよく生えている。黄色いホウキタケに似たカベンタケやアミガサタケもいた。
沢沿いに沢を何回か渡ると赤岳鉱泉に着く。テントサイトはいっぱい。冬は雪があるのでどこでも張れるが無雪期はそうはいかない。余った狭いスペースにテントを張って夕食の準備をする。夕食が出来るまでに少しお酒をのんだりして、みんなでわいわいがやがやと夕食を作る。
テント泊ならではの長閑な光景。差し入れのウィスキーを飲んだりと夕食後も会話に花が咲く。7時すぎには就寝。周りのテントサイトの山岳部の高校生が8時過ぎまでやたらうるさい。
20日
2時半に起きて朝食後ヘッドランプをつけて出発。硫黄岳方面に登山道を進みすぐに大同心沢の分岐を折れる。大同心稜への取り付きがうまく見つけられず、沢をつめすぎてしまう。少し引き返してつづら折の急登をひらすら登っていくと夜があけてきた。大同心がとても大きく見えてくる。
そして雲海のかたなには噴煙をあげる木曽御嶽がうかんでいた。樹林帯をでたところで一息つく。見上げる大同心と左に小同心。大同心の基部は礫岩の色の違う層が入っていて、他の岩場とはひとあじふたあじ違う。
大同心の基部を巻いて小同心クラックの取り付きへ向かう。既に先行パーティが取り付きにいた。ハーネスをはいたりしていると上からおともなくドサッと壁に跳ね返ることもなく落石があった。やはり無雪期は岩が脆いので怖い。といっても厳冬期の赤岳主稜の取り付きでもやたら落石があったのを思い出す。
6人で3パーティにわける。
1P:
私はいちばん最初に登らせていただく。最初のチムニーぽいとこに入るまでは支点が少ない。カムが入りそうで入らない。残置はまぁまぁある。ピナクルでも支点をとれる。チムニーぽいところを少し上がって左に少し出るところはなんとも高度感がある。1P目の終了点はチムニーをぬけたところにあるがその前にもペツルのぴかぴかの支点があり、ロープの流れが少し悪くそこでピッチを切った。しかし2P目を考えるとやはりその上でピッチを切ったほうがよかった。
2P:
相変わらずの小同心、大同心特有の珍しい岩質で落石もしそうになる。残置ハーケンはかなりの頻度である。終了点間近の狭いチムニーは両側に足を突っ張って抜ける。ここはガイドブックにも載っているところで小同心クラックの中でも見せ場のようなところだと思う。核心部も2P目になるのだろうか。
3P:
チムニーを抜けたあとに左にいくか右にいくか、選択肢は2つあり先ほどのチムニーに沿って進むのであれば右である。しかしこっちのルートは最終ピッチの岩峰を右に巻いて少し歩かなければならない。左は強引に最初の前に突き出した岩をマントルで抜ければ3P目の終了点までは歩くことなくわしわしと登っていくことができる。右もまた赤岳や石尊稜や中山尾根などの岩々とした風景を見ることができる。
難易度としては右のほうが易しく、左のほうは突き出した岩を乗り越えるのに少々難儀で難易度は右より易しくない。しかし高度感もあってなかなかよい。前回は左から行った気がする。左から行く岩峰をまくようにして歩く箇所がありクライミングシューズですごい痛かった記憶がある。
終了点からは横岳から硫黄岳方面に行く鎖場がすごく近く感じる。ここからトラバースしたら楽そうと思ったが、かなりやばいトラバースになると思った。横岳の山頂から赤岳寄りの稜線から「ガンポー」というコールがかかった。縦走コースから横岳あたりで合流する予定のNさんが私達に気付いてくれたのだ。手を振り返す。
その後コンテで痩せた尾根を進み横岳山頂直下で一応ザイルを出して、山頂へ到着。
山頂は人がわいわいしており、きのう北沢ルートであったとおぼしき高校生の団体などもいる。完全に場違いな装備であの人たちはなんだという目線に少し気恥ずかしさと岩場を登ってきたんだぞすごいだろうという少し自慢げな気持ちでビレーをする。後続があがってきて、ロープもたたんでそそくさとハーネスなどもザックにしまい、一般登山者の風貌のなって後のパーティを待った。快晴の八ヶ岳で横岳の山頂は人が多い。
全員登り終わりNさんとも横岳の鎖場の終わったあたりで合流して、硫黄岳に向かう。長いのっぺりとした硫黄岳の登りがしんどい。
爆裂火口はいつ見ても圧巻である。天気もよく天狗岳や蓼科などの北八ヶ岳を遠望しながら下山を開始。
文三郎尾根のほうでヘリが人をピックアップしていた。怪我人がでたのだろう。樹林帯を早めのペースでおりて赤岳鉱泉に戻ってきた。テントの数はあまり変わっていない。テントを撤収したすぐに新しい人がそこにテントをたてていた。
北沢コースをぱたぱたと足早に下りて下山完了。下山口
から程近い樅の湯は人がかなり多かった。
そしてシルバーウィーク後半戦小川山クライミングへと突入。川上村へと車を走らせた。
おまけ:
峰の松目から赤岳鉱泉までの下山路の枯れた切り株の中に生えていたクダホコリ Tubifera ferruginosa
未熟体は明太子みたいな赤いプリプリしたすごい目立つ色をしている。柄の基部に黒い点(擬子嚢体)のあるコモチクダホコリ と区別できる。
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