日時:2017年6月17日、18日
場所:櫛田川水系蓮川 奥ノ平谷
メンバー:コ、カ

夏のアルプスの沢の予行演習を兼ねて、悪絶と名高い台高・奥ノ平谷へ行ってきた。
前夜発の予定が、仕事の関係で出発が遅くなりそうとのことで、朝3:30頃に滋賀県内を出発。
思ったよりも早く、6時前にはスメール付近に到着する。
蓮界隈は名渓が多いので、こんな近いしもっと行かねば、などとと話していると見えてきた蓮ダムの水位が明らかに低い。
さらに進むと、ダム付近の河原は伏流しており完全に水が無かった。
最近の晴天から水量は少なめと予想していたが、これは沢にも水がないのではと不安になってきた。

林道ゲートのちょっと手前に車を停めてしまったので、1時間ほど歩いて7:30頃に入渓。
やっぱり水は少ない気がする。
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しばらく河原歩きの後、一つ目の滝が現れた。戻滝だろうか。
ちゃんと滝になっていて、ひとまず安心した。

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泳いで取り付き、水流際を登る。わりとすんなりと登れるが、問題はこの後。

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すぐに魚止めの滝6mがでてきた。やはり水量は少なめなものの、結構迫力がある。
釜を泳いで取り付き、右岸のホールドを頼りに登った。
ネットの記録では高巻いていることが多い滝なので、登れて嬉しい。しかし空身で登ったため、荷揚げがすこぶるしんどい。
水を吸ったザックを引っ張り上げるのでだいぶ疲れた。

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そこから先は両岸が切り立っており、ゴルジュに見とれながら進む。

少し行ったところの、ほら貝の滝の巻道がよくわからない。
適当に登れそうなところを登りましょう、ということで、どう見ても正解ルートではない岩の隙間をよじ登った。
純粋なピッチグレードとしては、この巻き?が核心で、沢靴のせいもあるが、体感5.10aはある感じ。
本当は岩の隙間をくぐり抜けてから巻くのが正解のようだった。

そこから先も、手が届かない場所に生えている立木にスリングを引っ掛けたりして無理やりよじ登る。
荷揚げの疲れに加えて、さらに消耗する。

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進んでいくと現れた鎌滝30mは、切り立った崖に囲まれた釜に注ぐオーバーハングした滝で、この沢で最も美しい滝だった。
この滝を見るだけでも、ここに来る価値はあると感じた。

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その後も足場の悪い高巻きや懸垂をしながら進むと、この沢最大のサスケ滝40mに到着する。
この滝も記録では巻いていることが多かったが、今回は水量の少なさが幸いし、逆くの字になっているルンゼ沿いを登ることができた。
写真右上のテラスまではロープを出さずに登り、最後の15mほどを確保した。
高度感があって緊張感のあるクライミングとなった。

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その後もいくつかの滝を登ったり巻いたりしながら進んでいくも、なかなか源流域につかない。
持参した遡行図の情報が間違っており、右岸を巻くのが正解なところを、左岸を巻きそうになったりした。
最後に出てきた25m滝は、他の沢ならばメインの滝になるほどの規模だが、今回ほとんど印象に残っていないことからも、この沢のスケールの大きさがわかる。

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最後の大巻きを終えて沢に戻った後、景色が一転して穏やかな流れになる。
この時期の日の長さに助けられ、17:30頃になんとか当初予定していたテン場にたどり着くことができた。

流木が非常に乾燥しており、簡単に焚き火ができた。
地面も湿っておらずとても快適なテン場だった。

翌朝は溜まった疲労のためもあり、思い切り寝坊して6:30頃に起床。
しかし急いで準備したら7:30には出発できた。
沢でここまで寝坊したのも、これほど早く準備できたのも、これまでの最速記録かもしれない。
2日目は下山だけだと気楽に思っていたら、ここからの下山も一筋縄では行かなかった。
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沢を詰め上がっていくも、台高主稜の縦走路に出る場所がわからずうろうろしていると、原っぱに木が点在している美しい場所にたどり着いた。
自然の中に、人工的に管理された公園のような場所があることが不思議だった。

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稜線に上がってから喜平小屋沢を降りて、巻きや懸垂を何度か繰り返し、途中崩落した林道をダラダラ歩いて、昼過ぎに駐車地に戻ってきた。

感想としては、記録を見た段階から、長そう、しんどそうと思っていたものの、実際に行ってみるとやはりタフな沢だった。
今回は水の少なさと日の長さに助けられた面も大きかった。
これが水量が多く、日没も早い季節であったら、源流域まで抜けられたかはわからない。
荷物を担いでの歩き、泳ぎ、登攀、高巻き、地図読み、全てが要求され、難しい沢とはこういう感じということが体感できた。

宴会沢もいいし、ガッツリめの沢もいい。
でも、次は宴会沢に行きたい。