記 富岡 享子 

 「京都一のヤングパワー」今ならこのキャッチは岩峰会にぴったりといったところでしょうが、この言葉に誘われ岳連ルームへ足を絡み入れた私を最初に迎えて下さったのは、かの一色さんや、中西さんでありました。えっ!落ち着け冨岡、私は動揺を隠せないまま(すみません)一色さんの容赦ない質問に夕ジタジしていたのを懐かしく思い出します。そして“これから山行には必ず持ってくるように”と中ジョッキを手渡され、戸惑いつつもどんどん岩峰会にはまっていく私でした。

 とにかく山の中にいれば、今、そこにいる自分がただ嬉しくて、何か心の底から込み上げてくる幸せで一杯で、次々と知らない山を知って行く喜びに浸るばかりでした。そして何よりも世間知らずな19歳の私には、岩峰会の面々が恐ろしく新鮮で、面白く、山行を重ねるごとに聞く山の話しにワクワクし、山の歌に手拍子をうっていました。

 今、この原稿を書くにあたって、岩峰会で行った山行を思い起こしているのですが……コンピラや六甲の岩登り、比良でのトレーニング、穂高の縦走、2月の大山、5月の剣、正月の八ヶ岳、11月の尾瀬・谷川、山スキー、シズハラグランドホテル? での宴会、それから、ああ、まだまだあった……どの山行にも、思い入れがあり、素晴らしい思い出があり、これが一番!となかなか言い切れずにいます。

 その頃あまりお酒を飲めずにいた私ですが、テントの中で飲むビールはとてつもなく美味しく、テントの中で見るロウソクの炎はうっとりと美しく、テントの中で食べる料理は感動的に美味しく、テントの中で交わす会話は哲学的に心に染み、テントから見上げる空の星に自分の思いを訴え、ああ、テントは人生なのだ!若い私はここで一つの重要な発見をするのでした。

 ただ山にくぞー、というばかりで、技術的に未熟なまま、皆様には随分ご迷惑をかけたことと思います。私のような、未熟物で、甘い人間とお付き合い下さった面々に、ここで改めて感謝を致す次第です。

 思えば実質活動させていただいた時間は2年間ほどでしたが、私にとって岩峰との出会いは、人生最高の出会い!とばかりに思っております。

 今は、いろいろな葛藤を胸に、山への思いをくすぶらせている毎日です。

 

 次は、会報係さんを泣かせないよう!?唐橋くんはおいといて大住さんです…